余所者-よそもの-【 2 】



「カナコッ!!」

その声に、地面を舐めるようにして顔を上げる。


「シド……」

シドだけじゃない。

ドタドタと複数人の重い足音が、こちらに向かって急速に近づいていた。


緊張の糸が切れて、「はあ、」と息を吐き、肩を落とす。

……助かった。


シドは駆けつけるなり、すぐに私の身体を抱き起こした。


声をかけようかと思った。

けれど、口を閉ざした。

「………」

シドの目が、血走っている。


小刻みに震える手が、私の頬をそっとなぞった。

男に殴られたばかりのそこは、指先が触れただけでツン、と痛みが走る。

思わず顔をしかめた。


すると、シドの顎がギリッと強張る。

こめかみに太い筋が浮かび上がった。


そんなシドが、とても恐ろしくて。

思わず、ぎゅっと身を固くした。


その瞬間。
大砲のような怒号が鳴った。


「──……多夜ァァア……!!!」


ビリビリと震える、空気。

シドのその叫びを、いつの間にか傍に立っていた多夜が「ああ」と静かに受け止め、走り出す。

風を切った音のあと、たくさんの足音が猛スピードで駆け抜け、多夜の後に続いた。