余所者-よそもの-【 2 】



どれくらい経っただろう。

「そろそろヤバい!ズラかるぞ!」

「この女はどうする?」
「連れて来い!」


寒気がした。

身体の上の重しがなくなり、呼吸は楽になったのに、息ができない。


「立て」

髪を掴まれ、無理やり引っ張り上げられた。

でも、身体に力なんて入らない。


薄目を開けば、「さっさと立て!」と、頬を拳で殴られた。

ゴツッ、と鈍い音が、耳の内側で響く。

一瞬目の前が真っ白になって、かと思えば、チカチカと無数の星が泳ぎだす。


力の抜けた私の身体を、男は荷物のように肩へ担ぎ上げた。


逆さまの視界に、地面が流れていく。

男が走るたび、肩に押しつけられるお腹が苦しい。

うえっ……とえずいた拍子に、口に詰められていた布切れがボトンっ……と地面に落ちた。

そばに、室外機が見えた。


……ここは、木の扉のある細い路地のあたりだ。

やがて細い路地を抜け、角のバイク屋の立て看板の隅っこが見えたころだった。


「やべぇ、もう戻ってきたっ」
「走れ走れ!!」
「ちょ、待てよ!女は!」
「捨てていけ!!」

そんな声が聞こえて、すぐ。

──ドサッ!
冷たいコンクリートの上に、身体が放り出された。