シドは途中、何度か言葉を零した。
「助けてやれなくてごめん」とか、「間に合わなくてごめん」とか。
何度も、壊れたように謝って、謝った挙句の果てに、
「――…カエデ」
と、別の女の名前を呼ぶものだから、それだったら私だって私で居るのをやめたっていいなって思った。
これはきっと何かの罰なんだと受け入れて、ただ時間が過ぎ去るのを待つ事にした。
なのに。
シドが私の左足首を掴み、さらに腰を深く打ち付けてきたとき。
まだ治りきっていないヤケドの痛みが走ると、ユキのことを思い出してしまった。
――『俺、お前が自分を蔑ろにするのを見る度に、イラつくんだよね』
冷水に晒され続けたユキの、氷のように冷たかった優しい手の感触を思い出せば。
今この身に降りかかるシドの、焼け切れるほどに熱い、残酷な手の感触を思い知る。
そうすると、なんだか無性に。
どうしようもなく、泣き喚きたい気持ちになった。

