余所者-よそもの-【 2 】



部屋に入ると、風呂上がりのシドがいた。

私もシャワーを借り、浴室を出るなりシドに求められる。

明日は休日。
『抱き潰す』の宣言は冗談でもなんでもなく、シドは本当に私を潰しにかかってきた。


気がつけば、眠っていた。

途中から記憶がない。
多分、最後は本当に意識を飛ばしてしまったんだと思う。


起き上がろうとしたけれど、身体がだるくてやめた。

ぼんやりと見つめる天井は、もうすっかり見慣れてしまった景色。


枕元のスマホで時間を確認すれば、もう夕方だ。

こんなに長い時間眠れたのは、久しぶりかもしれない。

シドと触れ合ったあとは、よく眠れる……。

変なの。
身体は重たいのに、頭は妙にすっきりしてる。


シドは今日、一緒に出かけようと言っていたけれど。


……どこに行っちゃったんだろう。

シャワーの音もしないし、この部屋にはいないみたい。


喉が渇いたな。

私は力の入らない身体をズルズルと引きずるようにして、ベッドを降りた。

床に散らかった服を一枚一枚集めて、順番に身に着けていく。


そっと部屋を出た。

カウンター裏から店内を一瞥するけれど、ここにもやっぱりシドはいない。


無遠慮に冷蔵庫を開けて、一本のミネラルウォーターを手に取った。

勝手に、いいのかな。
一瞬そう思ったけど、いいやって思った。

私をこんな風にしておきながら、ここにいないシドが悪い。


後から『お水をもらったよ』って伝えれば、『置いて行って悪かったな』。
きっとそう言って、髪を撫でてくる。

こんなシドを、簡単に想像できてしまう。

不思議。
少し前まで、私にとってシドはとっても怖い人だったのに。