部屋に入ると、風呂上がりのシドがいた。
私もシャワーを借り、浴室を出るなりシドに求められる。
明日は休日。
『抱き潰す』の宣言は冗談でもなんでもなく、シドは本当に私を潰しにかかってきた。
気がつけば、眠っていた。
途中から記憶がない。
多分、最後は本当に意識を飛ばしてしまったんだと思う。
起き上がろうとしたけれど、身体がだるくてやめた。
ぼんやりと見つめる天井は、もうすっかり見慣れてしまった景色。
枕元のスマホで時間を確認すれば、もう夕方だ。
こんなに長い時間眠れたのは、久しぶりかもしれない。
シドと触れ合ったあとは、よく眠れる……。
変なの。
身体は重たいのに、頭は妙にすっきりしてる。
シドは今日、一緒に出かけようと言っていたけれど。
……どこに行っちゃったんだろう。
シャワーの音もしないし、この部屋にはいないみたい。
喉が渇いたな。
私は力の入らない身体をズルズルと引きずるようにして、ベッドを降りた。
床に散らかった服を一枚一枚集めて、順番に身に着けていく。
そっと部屋を出た。
カウンター裏から店内を一瞥するけれど、ここにもやっぱりシドはいない。
無遠慮に冷蔵庫を開けて、一本のミネラルウォーターを手に取った。
勝手に、いいのかな。
一瞬そう思ったけど、いいやって思った。
私をこんな風にしておきながら、ここにいないシドが悪い。
後から『お水をもらったよ』って伝えれば、『置いて行って悪かったな』。
きっとそう言って、髪を撫でてくる。
こんなシドを、簡単に想像できてしまう。
不思議。
少し前まで、私にとってシドはとっても怖い人だったのに。


