一向にユキは戻って来ない。
待っていても仕方がないので、シャワーを止めて浴室を出た。
足だって冷たさに限界だった。
ここまで冷やせば大事にならないはず。
廊下に出ると、ちょうど玄関扉が開く音がした。
小さなビニール袋を手に提げたユキが、外から帰ってきた。
……どこに行ってたんだろう?
首を傾げていると、ユキが顔を伏せたまま、ズンズンと迫ってきた。
「……え、……え?」
それは、まるでタックルの要領。
ユキは腰を屈め、両腕でガツッと胴体をロックすると、そのまま私を担ぎ上げた。
リビングまでワッショイと運ばれ、ソファにごろん、と下ろされる。
「あの……」
一体、なんなの。
「………」
ユキは黙ったまま、ビニール袋から小箱を取り出した。
中から出てきたのは、小さな白いチューブ。
ぽいっと床に投げ捨てられた箱には、火傷用の軟膏薬と書かれていた。


