星降る夜に、あの日のキスをもう一度


「テネイラ。主にこの地方の山に生息する大型獣よ。今の時期は人の匂いを避けて山奥にいることが多いわ。いきなり襲ってきたってことは、たぶん近くに子どもがいる。子どもはある意味、親より危険だから気を付けて」

 念の為ぐるりとテネイラの口の周りを縛った後、それが出てきた当たりの草むらを探す。

「先生、二匹みつけました。もっといますか?」
「いえ、テネイラは毎年二頭しか子を産まないから、それで全部のはずよ」

 ニーニーと鳴くテネイラの子は成猫ぐらいの大きさだ。今の見た目は可愛くても食欲が大人の比ではない魔獣は、今の時点でもメロディくらいの子どもならあっという間に食い尽くしてしまう。

「今のうちに仕留めておかなくては危険だわ」

 事実とびかかってきたテネイラの子に、アンジェラは弓を短剣に変えると逆手に持ち直して仕留め、もう一匹はエドガーが仕留めた。

「メロディがいなくてよかったわ」

 飛竜や大人のテネイラならともかく、見た目だけは愛らしいテネイラの子を仕留めるところを見ればショックだろう。やはり安全なイリスに早く帰さなければと思う。

「先生、脇!」

 エドガーの声に自分を見下ろすと、さっきテネイラの子をかわしたときに爪が服をかすったようで、胸のあたりから足の付け根あたりまで、すっぱりと服が切り裂かれてしまっていた。

「大丈夫、切られたのは服だけよ」

 ショックを受けている様子のエドガーに、アンジェラは手で裂かれた部分を抑えながら微笑んだ。

「服が切れたくらいでそんな顔をしないの」
「先生、守り切れなくてすみません」
「いいえ? これはわたくしの力不足です。やっぱり年かしらね。体がなまってるわ。鍛えないと」
「誰が鍛えるんですか?」