街に入るとメロディは、好奇心が抑えられない様子で目をキョロキョロさせていた。隣を歩くエドガーの腕をつかんで「あれは何?」と聞く姿が微笑ましい。
間もなく市場に入るとき、アンジェラはメロディを呼び止めて視線の高さを合わせた。
「メロディ、あなたに使命を与えます。あなたのお父様は目を離すとすぐ女の人に捕まってしまうので、しっかり守ってあげてくださいね」
アンジェラがあえて真面目な顔で保護者役を逆転させてみれば、コンラッドは苦笑をこぼし、メロディは目を輝かせて「まかせて、アンジェラママ!」と胸を張った。
(ママ!)
その朗らかな笑顔にアンジェラは思わず息が止まりそうになり、胸元をぎゅっと握りしめた。
「幼くても美人の笑顔の破壊力ってすごいわ」
店を覗きにいったメロディとコンラッドを見送りながら脱力すると、エドガーが「へえ?」と面白そうな顔をする。
「じゃあ俺も言ってみようかな。アンジェラママ?」
にこっと幼いくらいの笑顔を見せるエドガーに、アンジェラは思わず吹き出した。
「か、可愛いわ、エドガー」
本気で小さかった頃の彼が見える!
その生暖かい視線に気づいたらしいエドガーは、
「うげっ。やめておけばよかった」
と、げんなりして見せた。
そんな二人に向けられる微かな視線を感じたけれど、エドガーもアンジェラも気付かないふりをしながら――。



