星降る夜に、あの日のキスをもう一度

 この世界に来て四日目。アンジェラは四十歳の誕生日を迎えた。
 四十歳になった自分の顔は鏡をのぞいて見ても何も変わらない。むしろここ二日ばかり半ば強制的に寝室に追いやられていたためか、今朝は肌がつやつやなことに気づいた。

「今日は化粧のノリがよさそう」

 露天風呂効果もあるのかしらと、アンジェラは窓の外を見てにっこりする。
 一昨日うっかり昼寝をして目が覚めると、外の光景がガラリと変わっていて驚いた。エドガーが森をひらき、露天風呂を完成させていたのだ。
 木々がなくなったことで泉まですぐ辿り着くし、囲いのおかげで空は見えてもメロディたちが周囲を気にせずに済んだ。
 一緒に風呂に入ることには驚かれたけれど、尻込みするライラも巻き込んで楽しく入浴したおかけで、驚くほどリラックスできた。エドガー様々である。

「力の加減を試すのにちょうどよかったんですよ。メロディとシドニーさんも手伝ってくれましたし」

 大したことしてないとでも言うような態度のエドガーが、ひたすら可愛い。
 私も手伝ったと、どのようなアイディアを出したか訴えてくるメロディも可愛くて仕方がない。
 とんでもない状況のはずなのに、アンジェラの心は幸せで満ち足りていた。
 気力も魔力も十分。今なら何でも出来そうな気がする。


 昨日の午前中は、コンラッドは仕事でずっと自室にこもっていたけれど、午後はエドガーとシドニーを連れて街の様子を少し見てきた。通信用の鳥(リステラー)によって勇者が街の近くにいるとの噂がすでに立っていたようで、どうやら勇者とその迎えがこの街に来るらしいと、市場でもその噂でもちきりだったらしい。

「明後日あたりに迎えが来るみたいですね」

 ふふんと笑うエドガーは、地味な格好であちこちで色々な話を集めたと楽しそうだ。アンジェラに相談をしながら、夕方からは召喚の練習などをして過ごした。