星降る夜に、あの日のキスをもう一度


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 露天風呂ですっかりくつろいだらしいアンジェラは、やはり疲れていたのか早めに就寝した。メロディはもちろん、シドニー達も早めに休ませる。

 的確に指示を出すために仕事の前準備をしていると、コンラッドの自室にエドガーが訪れて長い話をした。

「あまり驚かないんですね、閣下。もしかして知ってたんですか?」

 アンジェラの秘密を暴露したエドガーは、表情を変えないコンラッドに不思議そうな顔をする。

「いや。知らなかったよ。驚いてもいるけれど――そうだな。納得したと言った方が近いかもしれないな」

 前世や来世という概念はコンラッドにもある。
 月の女神もそうだし、神話では生まれ変わって人生を繰り返す精霊の話もあるのだ。

 アンジェラは確かに月の女神だった。
 しかも今の人生より前の人生を、三つも覚えているというのだ。
 学生生活でのちょっとした発想の違いも、ヒィズルでの文化に妙に馴染んでいたことも、魔法発動のときの不思議な呪文や今回のタブレットも、きっとそうした記憶の影響なのだと考えると不思議と納得できた。
 何か怖い思いをしたかのように苦しみもがいていたのも、前の人生の影響なのだろう。まるでこの世界に前にも来たことがあるかのように、安々とこちらの貨幣を手に入れ、情報を集めたことも。

「アンジェラはもしかして、この世界で生きていた記憶があるんじゃないか?」

 そう尋ねるコンラッドに、エドガーの目が丸くなる。

「よくわかりましたね。先生は俺の先祖、つまり先代の勇者の側にいたらしいですよ。一緒に戦った仲間だって昨日教えてくれました」
「そうか」

 目を輝かせるエドガーに、アンジェラが何かに助けを求めながら苦しんでいたことは言わないほうがいいだろう。英雄のように思っている女性がつらい思いをしているのは知りたくないだろうし、アンジェラも知られたくないだろうから。
 そう思ったのに、エドガーは手を組んであごを乗せると微かに目を伏せた。

「閣下。先生はね、たぶんだけど、いつも早く死んでたんだと思う。話からの推測だけど、せいぜい二十歳くらいまでしか生きられなかったんじゃないかな。おそらく毎回、壮絶な死を体験しているよ」

 実際に何かを見たかのような言葉に、コンラッドは瞬間的にエドガーを叱りつけたくなった。憶測で言っていいことではないと。
 それでもその言葉を奇妙に納得して受け入れてしまったのは、アンジェラの表情のせいだ。時々彼女は、いつ終わりが来てもいいような、すべてを諦めたみたいな目をする。
 今までそれは、コンラッドを遠ざけるためだと思っていた。けれど諦めなのではと分かったとたん、腕が一気に粟立った。