星降る夜に、あの日のキスをもう一度

 二番目に作ったタブレットをアンジェラから貰ったコンラッドは、ウィング家の家令を通して会社に連絡をしてもらい、しばらく仕事をすることが出来た。
 自分のサインが必要なものは、あとでアンジェラに頼らなくてはいけないだろうか。
 無理はさせたくないから、伸ばせるものはギリギリまで伸ばせるよう手配しておくが……。

 このタブレットのおかげで文字のやり取りはできるものの、手紙と違って手元に読んだ内容を取っておくことが出来ない。その為必要なことは毎回メモが必要であるが、こちらが受信するチップを起動させない限りメッセージが消えない為、特に問題はなかった。本当にすごい発想と技術力だ。

「閣下?」

 エドガーの抑えた声に顔を上げる。
 ちらりと時計を確認すると、五時を少し回ったところだった。
 エドガーがくいっと顎をしゃくるほうを見ると、メロディたちと三人であれこれ作業をしていたアンジェラが、ソファですっかり眠ってしまっていた。ずっと眠そうな感じだったからもっと早くにウトウトするかと思っていたのに。

「案外時間がかかったな」

 ベッドに行けと言ったところで聞かないのは分かっていたから、みんなでそれとなく彼女が力を抜けるよう誘導していたのだが、ようやくうまくいったようだ。

「パパ、アンジェラ様をベッドまで運んでくださる?」

 彼女を起こさないようメロディが小さな声でそう頼んできた。

「ああ、そうしよう」

「俺、風呂を作ってきますよ。先生喜ぶだろうし」

 今朝見つけた泉を使うのだろう。この別館にも浴室はあるが、コンラッドの力ではそこまで湯を貯めるには少し困難だった。
 だからエドガーの、アンジェラに少しでもゆっくりさせてやりたいという気持ちが伝わり、了承した。彼がアンジェラを心から慕っていることがよく分かる。
 もし彼が同世代だったら、アンジェラを巡って手強いライバルだったかもしれない。

「だったらシドニーを連れて行くといい」
「ありがとう、そうします。メロディも行くかい?」
「そうね、――行くわ。私も手伝う!」

 チラリとコンラッドを見たメロディは、父親が頷くのを確認してから了承をした。
 エドガーとシドニーがついていれば大丈夫だろう。

 そのエドガーはいくつか窓の外を確認すると、
「閣下、少し派手にやっちゃってもいい?」
 と言うので、よくわからないが了承した。
 エドガーはヴィクトリアとジョナスの子だ。多少奇想天外なことをしてもおかしくない。そう思うと少し笑えてくる。