星降る夜に、あの日のキスをもう一度

 正確に切られたスタウルは、A4よりも少し大きいくらいのサイズになった。
 そこに先ほどの粉と油を混ぜたものを均等に塗る。右上に信号を受けるライト代わりに矢じりを加工したチップを四枚等間隔でのせてそれぞれに小さく印を刻み、上からもう一枚スタウルを重ねた。

「これで二枚を接着して完成です」

 アンジェラが魔力でギュッと圧縮をかけて素材を固定すると、厚さは一センチに満たない程度の一見黒い板の出来上がりだ。

(なんちゃって電子メモタブレット完成。見た目だけなら完璧だわ)

 心の中でニンマリ笑って懐中時計を確認すると、あと十分もしないうちに三時になる。ぎりぎり間に合った。

「次の文は三時にと約束してますが、グレンにも今、これと同じものを作るよう指示してます」

 アンジェラの言葉に皆、何を言っているのかよく分からないという表情になる。それでもエドガーとメロディの目は何が起こるのだろうという好奇心で、目がキラキラしていた。

「では、最初の実験です。指先に魔力を流します」

 アンジェラが人差し指の先に魔力を流し、タブレットに自分のサインを入れる。

「うん。ちゃんと書けますね」

 黒い板に青白い線で文字が書けたことに、子どもたちが歓声の声を上げた。

「アン先生。これは魔力を流せば誰でも書けるの?」
「ええ、メロディ。試しにこの辺に何か書いてみる?」

 アンジェラが下のほうの余白を指すと、メロディは少し考えて名前と小さな花を描く。そのあとエドガーが自分のサインを入れ、コンラッド、シドニー、ライラの順で試し書きをした。全員問題なく書ける。

「消すときは、上のこの部分を押せば消えるわ。消してみるわね」

 上中央に作っておいた細長い線のようなものを押しながら魔力を流すと、書かれた文字はきれいに消えた。

「さて、約束の時間なので実験を開始します」

 アンジェラは綺麗になったタブレットに再び自分のサインを入れ、一番上のチップに魔力を流した。タブレットの上から細い線のようなオレンジ色の光が炎のように現れ、一直線に下に流れて消える。
 そのまま数分経つと、先ほどの一番上のチップが青く光った。

「うまくいったみたいです」

 そう言ってアンジェラがチップをタップすると、今度は青い光のラインが現れて下に流れていく。すると今まで書いてあったアンジェラのサインが消え、代わりに上からゆっくりとメッセージが出現した。

【無事届きました。グレン ナタリー サム】

 表示された文章にどよめきが走る。