「構わないけれど、二時間くらいかかると思うし、見てても面白くはないと思うわよ?」
「大丈夫。これも勉強です。いいわよね、パパ」
「ああ、もちろんです」
「二人がそれでいいなら。飽きたら先に帰っていてくださいね?」
アンジェラはメロディの熱意に首を傾げつつ、多分すぐに飽きるだろうと考えて作業を続ける。たしかに勉強にはなるだろう。
コンラッドの視線が常に付きまとうのを感じるけれど、本当のアンジェラを知ったらたぶん引くだろうな―――と、なんとなく思った。
そう思っても今は自重などしている暇はない。胸が痛いのは気のせいだ。
「先生、シャツは脱いだ方がいいですか?」
アンジェラが胸に直接手をあてるためシャツの裾に手をかけたエドガーが、はたと止まって首をかしげる。
「そうねえ。メロディが見てるし、ボタンを外すだけにしましょう。施術の間万が一倒れないよう、わたくしの腰に手を回しておいて」
「えっと、じゃあ、すみません、失礼して」
少し顔を赤くしたエドガーがアンジェラの腰に両手を回す。
自分の目線より少し高いところにある彼の目が泳いでいるのがおかしくて、アンジェラは少しだけいたずらっぽく微笑んだ。
「女性の腰に手を回すくらい、ダンスの練習でもしたことがあるでしょう?」
「女性といっても、俺の場合相手はアデルですよ? もしくは男の家庭教師だ」
それもそうだと肩をすくめると、茶目っ気を出したらしいエドガーが耳元に口を寄せた。
「アン先生は今も俺の理想の女性ですから、特別なんです。今日も綺麗ですよ、アンジェラ」
キリッと決めた顔も甘くささやく声も、同世代の少女ならさぞやときめくことだろう。
間近にあるのは母親譲りの迫力ある美貌だ。十六歳にしては大人っぽいし、背も高い。なのにアンジェラには、これなら男装したヴィクトリアに言われたほうがときめきそうだなと思った。
(こう考えると、学生時代のヴィクトリアの色気って、並大抵ではなかったのねぇ)
同じ十六歳だった頃のヴィクトリアとコンラッドが並んだときの圧倒的な迫力を思い出して、しみじみとそんなことを思う。
アンジェラは軽く肩をすくめるとエドガーにだけ聞こえるように、
「おしめを代えたこともある、あのエドガーが大きくなって」
と、しみじみとつぶやいて見せた。
「さっ、流石にそれは嘘でしょう」
「さあ、どうかしらね?」
「くそっ。来世では絶対先に生まれてやる」
「なにそれ?」
「いいんです、気にしないでください。どうせ相手にされないことくらい知ってるんですから」
「ふふ。そんな軽口叩けるなら、十分リラックスできてるわね。じゃあ始めるわよ」
「大丈夫。これも勉強です。いいわよね、パパ」
「ああ、もちろんです」
「二人がそれでいいなら。飽きたら先に帰っていてくださいね?」
アンジェラはメロディの熱意に首を傾げつつ、多分すぐに飽きるだろうと考えて作業を続ける。たしかに勉強にはなるだろう。
コンラッドの視線が常に付きまとうのを感じるけれど、本当のアンジェラを知ったらたぶん引くだろうな―――と、なんとなく思った。
そう思っても今は自重などしている暇はない。胸が痛いのは気のせいだ。
「先生、シャツは脱いだ方がいいですか?」
アンジェラが胸に直接手をあてるためシャツの裾に手をかけたエドガーが、はたと止まって首をかしげる。
「そうねえ。メロディが見てるし、ボタンを外すだけにしましょう。施術の間万が一倒れないよう、わたくしの腰に手を回しておいて」
「えっと、じゃあ、すみません、失礼して」
少し顔を赤くしたエドガーがアンジェラの腰に両手を回す。
自分の目線より少し高いところにある彼の目が泳いでいるのがおかしくて、アンジェラは少しだけいたずらっぽく微笑んだ。
「女性の腰に手を回すくらい、ダンスの練習でもしたことがあるでしょう?」
「女性といっても、俺の場合相手はアデルですよ? もしくは男の家庭教師だ」
それもそうだと肩をすくめると、茶目っ気を出したらしいエドガーが耳元に口を寄せた。
「アン先生は今も俺の理想の女性ですから、特別なんです。今日も綺麗ですよ、アンジェラ」
キリッと決めた顔も甘くささやく声も、同世代の少女ならさぞやときめくことだろう。
間近にあるのは母親譲りの迫力ある美貌だ。十六歳にしては大人っぽいし、背も高い。なのにアンジェラには、これなら男装したヴィクトリアに言われたほうがときめきそうだなと思った。
(こう考えると、学生時代のヴィクトリアの色気って、並大抵ではなかったのねぇ)
同じ十六歳だった頃のヴィクトリアとコンラッドが並んだときの圧倒的な迫力を思い出して、しみじみとそんなことを思う。
アンジェラは軽く肩をすくめるとエドガーにだけ聞こえるように、
「おしめを代えたこともある、あのエドガーが大きくなって」
と、しみじみとつぶやいて見せた。
「さっ、流石にそれは嘘でしょう」
「さあ、どうかしらね?」
「くそっ。来世では絶対先に生まれてやる」
「なにそれ?」
「いいんです、気にしないでください。どうせ相手にされないことくらい知ってるんですから」
「ふふ。そんな軽口叩けるなら、十分リラックスできてるわね。じゃあ始めるわよ」



