星降る夜に、あの日のキスをもう一度

 鈍感力を最大限に発揮したアンジェラは、妙に生暖かい視線の中で和やかに朝食をとったあと、昨夜は使わなかった自分用にあてがわれていた部屋に入った。

解錠(リ・ラプン)。天空の矢よ、わが手に」

 昨日送っておいた矢じりのない矢を再び召還すると、自分が結んだものではない紙が結んである。それを広げてアンジェラはにっこり笑った。

(さすがグレン。うちの息子ってば、ホント、優秀だわ)

 昨夜書いた手紙は、狙い通り息子の元に届いていた。
 新しい手紙はグレンが書いたもので、アンジェラの指示はすべて了解とのことだった。次の返事の約束は正午だ。

「さて。やるべきことを片付けてしまいましょうか」

   ◆

「エドガー。ちょっと外に付き合ってもらえるかしら。今のうちに貴方の封印を解いてしまいましょう」

 そう提案したアンジェラをエドガーは気遣うように見ながらも、「はい、先生」と素直に立ち上がった。

 今回エドガー自身が無理に力を解放したことで、このような想定外のことが起こっているのだ。万が一にも彼の双子の妹を引きずり込んでしまうかもしれない。その可能性を考えると、妹を巻き込みたくないエドガーは同意せざるを得ないのだろう。危険を考えて内緒で置いてきたというのだから。

 そんなアンジェラ達を見てメロディは少し考えるような仕草を見せた後、そっと片手を上げた。

「アン先生。私もついて行ってはダメ? 外に出てみたいの」

 メロディが一緒に来ても暇だろうと思ったものの、ずっと屋内にいるのも辛いだろうと思い直す。

「そうね。シドニーか旦那様が一緒なら構わないわ」

 もしもの場合を考えると、メロディを確実に守り、ここに連れて帰れる人が必要だ。
 当然のようにメロディはコンラッドを引っ張ってきたが、アンジェラは今朝のことなど何もなかったようにゆったりと微笑んだ。