星降る夜に、あの日のキスをもう一度


 再会できたことで、今まで蓋をしていた気持ちが溢れて止まらない。
 忘れたふりをしてきた。でも忘れることなどできなかった。

「私はもともとアンジェラに求婚しようと思ってたんです」

 大事なことなのでもう一度繰り返すと、「わたくしに?」と呟いて震えるアンジェラの頭にキスを落とす。

「あの日アンジェラに失恋したと思って、次に恋をしたのがスミレで。ああ、同じ人だったなんて昨日まで知りませんでしたよ。でもね、アンジェラ。これで分かったでしょう。私が、二度も貴女に求婚する前に逃げられた哀れな男だってことが」

 求婚していたらどうなっただろう。
 その言葉は口に出せなかったけれど。

「あの職員が勘違いをしていなければ、きっと私は貴女を追いかけました。大陸を二つも一人で渡るなんて、絶対させなかった」

 二十三歳の男にだって過酷な旅だったのだ。十八歳の女の子が、ずっと年上のふりをしていても楽だったはずがない。
 彼女を守れなかったことが心底悔しい。
 告白を次の日になんて伸ばさないで、走って追いかければよかった。求婚することを決めたとき、すぐに会いに行けばよかった。

「アンジェラ。私は今も昔も結局、貴女と家庭を築きたかったんだ。だから……」

 少しだけ体を離し、美しい紫色になったアンジェラの瞳をのぞき込む。

「今度こそ、私は貴女に求婚しようと思います」

 今なら知っている。アンジェラは強く感情が高ぶると目が紫色になる。

(初めてのキスをした日のように)

 戸惑ったように揺れる瞳に吸い込まれそうで、コンラッドの目は細める。
 この人は年を重ねてますます綺麗になった。

「アンジェラ、綺麗だ」