星降る夜に、あの日のキスをもう一度


   ◆

「エドガー様、あのね。私、パパとアン先生に結婚してもらいたいの」

 これはもう、目の前の少年も仲間に引きずり込もうと決意して打ち明けると、エドガーは面白そうに口の端を上げる。

「唐突だね?」

「うん。でもね、私ずっと、アン先生にママになってもらいたくて、ナタリー先生と二人を合わせる計画を立てていたところだったのよ。そしたらパパの初恋の人だって聞いたから嬉しかったの。あとはアン先生のお気持ち次第じゃない? って。――でもアン先生から見ると、多分パパはかかしにしか見えてないわ」

「か、かかしって」

「笑わないで。だって本当よ。他の女の人ならパパを見てうっとりしてくれるのに、アン先生、普通なんだもの。やっぱりもっと年上の方じゃないとだめなのかしら」

 悩まし気にため息をつくメロディを見て、エドガーが面白そうに肩を揺らす。
 それでも彼女の話や計画を真面目に聞き、最終的には協力できるところは協力してくれる約束を取り付けた。

「せめてパパが、金髪だったらよかったのに」

「アン先生、金髪の男が好きなの? ヤバイ、俺のことか」

「絶・対、違うと思う」

 そんな話をしているところにシドニーがやってきて、「旦那様は少しなら幻視の魔法が使えますよ」と言った。その顔が少しだけ悪い顔に見えるのは気のせいだろうか?
 ライラもやってきて「旦那様のコイバナですか?」と目を輝かせているのに、なぜか噴き出しそうな不思議な表情をしているのでメロディは首を傾げた。

 それでもエドガーが、
「ああ。閣下はたしか前は一時期金髪にしてて、外国では暁の狼って呼ばれてたんだよ。写真を見たことがあるけど、野性的でかっこよかったぞ」
 などと言うので、つい考え込んでしまう。

 小さく「アンジェラ様の前では見掛け倒しのヘタレ王子ですからね」とシドニーが囁いたような気がするのは――

(きっと気のせいよね。パパは王子じゃないし、ヘタレでもないもの)

「シドニーは、金髪の頃のパパと外国にいたの? どんなご様子だったの?」

「いえ。外国へは旦那様お一人で行かれていました。私はこちらに残って、必要な雑務をこなす必要があったのです」

 その後間があり、シドニーは何か苦い顔になったけれど、結局何も教えてはくれない。その代わりコンラッドの学生時代のことなどを少し教えてくれた。