星降る夜に、あの日のキスをもう一度

『すごいわね、そんなことまでわかったの。誰にも言ってないのに驚いたわ』

 心底驚き感心したという風なナタリーに、メロディは申し訳なさで縮こまってしまう。
 だってメロディが口にしたのは、
『アンジェラ様とナタリー先生って、本当は血が繋がってないでしょう』
だったからだ。
 半分八つ当たりでもあったので、まさか肯定されるとは夢にも思ってなかった。
 一方ナタリーはうんうんと頷いたあと、はたと動きが止まってしまう。

『――ねえメロディ。それならいい方法があるんだけど、興味あるかしら』

 まるで、「特別な宝物」が近くにあったことにたった今気づいたような表情(かお)をしたナタリーは、自分でそう言った後しばらく考え込んでしまった。

『ナタリー先生?』

 石化してしまったのかと心配になるほどピクリとも動かなくなったナタリーに、メロディは段々心配になってくる。でもその数秒後、晴れやかに笑った顔とその発言に、喜ぶというよりも正直腰が抜けた。

『メロディのパパと、うちのママが結婚すればいいって――、そう思ったのよ』

『結婚? うちのパパと、ナタリー先生のママがですか?』

 心底驚いたけれど、衝撃が去ってみればそれはあまりにも魅力的な話だった。

『考えてみると二人は年が近いのよね。結構お似合いな気がしない?』
『する、かも』

 写真で見たアンジェラは控えめなのに強く美しく、覚えたての言葉を使えばたおやかな印象の女性だ。コンラッドの隣に立って見劣りするなんてことはないどころか、多分見惚れるほどお似合いの二人になりそうな気がする。それはまるでおとぎ話の最後の挿絵を見たときのようで、メロディの胸は痛いほどドキドキした。

『アンジェラママはね、幸せになる権利があると思うのよ。それはもう、世界一幸せにならなきゃおかしいと思うの』

 たくさんの冒険譚の裏を返せば、若い女性には過酷な運命だ。
 そう呟いたナタリーの言葉を、メロディが実感として理解することはできなかったけれど。