星降る夜に、あの日のキスをもう一度

 仮装パーティー当日。
 太陽が沈み、星が一つ二つと瞬き始めるころ。
 普段学び舎である学園内は、どこか違う世界のような雰囲気にかわった。

 飾りつけをしていた時には気付かなかったが、照明の位置や明るさが絶妙で、そこに仮装をした学生が入ってくると夢の世界のようである。
 カレイドの学生、そして寮の客間を更衣室として使っていたリリスやビクトの学生たちも、思い思いの姿で会場に現れる。客間はその後寝室として使われるのだ。
 教師や理事も思い思いの仮装をし、今日は大人のパーティーのように深夜まで開かれることになっていた。

(アンジェラはどこだ?)

 準備が終わった後の会場スタッフは、カレイド学園のメイドやフットマンが行う。学生付きの執事やメイドも簡単な仮装をし、主人に用があるまではある程度自由にしていてもいいことになっていた。そのため、彼らが主人の友人になったリリスやビクトの学生の支度の手伝いに入るなど、ずいぶんと和気あいあいとした空気になっている。

「いいパーティーね」

 広く背中の開いた大胆なドレスに、薄い羽根のようなものを付けた女性がいつの間にか側にいた。

「カラの泉の精霊かい、ヴィクトリア」
「あら、バレてるの? つまらないわね」

 化粧でずいぶんと印象が違うが、分からないわけがない。

「アンジェラならまだよ。ぎりぎりまで準備に奔走していたんだもの。今ごろうちのメイドに遊ばれている頃ね。腕が鳴るって張り切っていたわ」

 イタズラっぽく目をきらめかせたヴィクトリアは、迎えに来たジョナスに手を振ると、コンラッドの耳に素早く口を寄せた。

「八の鐘が鳴るころ、東の温室に行ってみなさいな」

 そう言って、彼女は派手なウインクを残して去って行った。

(東の温室?)

 そこは普段カギがかけられていて、放課後は入れない場所だ。
 それでも外から花は見られるし、もしかしなくてもその時間、アンジェラがそこにいるということだろうか。