星降る夜に、あの日のキスをもう一度


   ◆

 館に戻ったアンジェラたちは、メロディたちに改めてマリオンを紹介した。

「彼女はエルフのマリオン。彼女はわたくしの弓の師匠なの」

 マリオンの年齢はもとより、美男子にしか見えないエルフが女性だということも、アンジェラの師匠であることも皆に衝撃を与え、しばらく館は大騒ぎだった。

「試しに弓を撃って見せようか?」

 外に出たマリオンが十字弓を使って木の幹を一気に矢で埋め尽くすのを見て、メロディとエドガーが目を輝かせる。

「エドガーにも作ってあげようか。攻撃の幅が広がるよ。ぼくが作った弓は精度がいいんだ。撃ち方も教えてあげる。アンジェラの腕も悪くないんだけどね」

「いいね! マリオンさえ構わなければ、ぜひ頼みたい」

「ああ、なるほど。そういう目は、リンに似てるね」

 青年と少年が話しているようにしか見えない光景に、アンジェラは笑いをこらえる。昔と逆のような気がして、リンに見せてやりたい気持ちになった。

「楽しそうだね、アンジェラ」

 隣に座るコンラッドが耳元でささやくので、アンジェラも
「保護者が逆転してるみたいに見えて」
 と、囁き返した。彼の中でも小さなエルフと今のエルフが見えたのだろう。
「なるほど、たしかに」
 と、柔らかく笑う。過去を共有できる人がいることが嬉しくて、アンジェラは甘えるようにこっそりとコンラッドの手を握った。

   ◆

 日が傾き始めた頃、防御壁の向こうに人が見えるとライラが知らせに来る。中に入れなくて、幻の道をぐるぐる回っている人がいると。

「あ、迎えみたいだ。あの真ん中の男が、俺を召喚した魔術師だよ」

 思ったよりも早かったと言いながら皆で迎えに出ると、魔術師や同行した騎士たちは山奥に立つ館とエドガー以外の人々に驚いた顔をしながらも、膝をついて謝罪の言葉を述べた。

「やめてください。今回は完全に俺のミスだったし、迷惑かけてすまなかった」

 一通りの挨拶と謝罪の後、アンジェラたちも紹介をされる。すでにヴィクトリアから事情を聴いていたということで、おおいに感謝されたうえ、アンジェラを大魔導士と勘違いしていた。どうやらヴィクトリアがそう吹き込んだらしい。

 エドガーを召喚した魔術時はトーマという三十歳くらいの男で、もう一人、エドガーより少し年上らしい女性魔術師がいた。彼女が城で待っていた最高位の魔術師であり、国の指導者のひとりグレオルン卿の娘らしい。今は王政とは違うようだ。

「こちらの不手際で大変なご迷惑をおかけしました。わたくしはサシャ・グレオルンと申します」

 優雅な礼は姫君のようで、メロディが食い入るようにその仕草に見入っている。
 エドガーと一緒にいたグループの一部と、城から来た者がここで合流した形のようだ。少し離れたところにサシャの護衛騎士が複数見え、念のため彼らにも防御壁の中に入ってもらった。

「立ち話もなんですから、リビングで話しましょう」