星降る夜に、あの日のキスをもう一度


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 朝食の後、アンジェラがエドガーと今後の話をしようとしていたところ、誰かが館をノックするので驚いた。

(防御壁の中に他の人間は入ってこれないはず)

 警戒しながらみんなで玄関ホールに向かいシドニーが誰何(すいか)すると、「セシル、いるんだろう?」 と、少年のような声が聞こえた。
 アンジェラは驚いてコンラッドと顔を見合わせる。

 セシルは、この世界に生きていたアンジェラにリンが付けてくれた名前だ。伝説に残る聖女の名前はセアラ(・・・)となっている為、この名は記録にはない。あったとしてもアンジェラとセシルを結び付けるものなんて何もないのだ。

 アンジェラはシドニーを下げ、
「わたくしが出ます。合図をするまで、決して手を出さないでください」
 と言い含め、念のため薄い防御膜を張ってからドアを開けた。

「セシル!」

 嬉しそうな声とともに、それはぼさぼさの長い髪をなびかせながらアンジェラに飛びついてくる。すかさずアンジェラがその手をひねり上げて体を地面に押し付けると、コンラッド、エドガー、シドニーがその人物に剣を向けた。思いのほか背が高く、少年というよりは青年のように見えた。

「ひ、ひどいよ、セシル。せっかくぼくが会いに来たのに」

「おまえは誰だ」

 コンラッドの低い脅すような声に、情けない声を出した人物が一瞬目を向け、無邪気なほど不思議そうな顔をした後、アンジェラの顔と見比べてぱあっと顔を輝かせる。その後エドガーが見えたらしく、「やあ、ゴルドの子孫くんじゃないか」と言ったので、エドガーが無表情のまま片眉を上げた。

(この目の色、この髪、この耳……)

「みんな、剣をしまっていいわ。誰だかわかりました」

 アンジェラがため息をつき、皆が剣をしまった後で押さえていた手をはなすと、それは胡坐をかいて楽しそうな顔をした。

「やあ、セシル。会いたかったよ」
「ええ、わたくしも会えて嬉しいわ、マリオン」

 名前を呼ぶとマリオンは、それはそれは嬉しそうににっこりと笑った。