アンジェラの提案にコンラッドは「そうですね」と頷くと、彼はメロディに自室に戻っているよう促した。
「でもっ」
とっさに声を上げたメロディは、ふとアンジェラを見て何か考え込むような仕草をする。そしてコンラッドの顔を見た後小さく頷くと一歩下がり、丁寧に礼をした。
「わかりました。部屋でいい子にしてますわ」
数歩歩いたあと「詳しいことは後で教えて下さいませ」とだけ言い起き、すんなりと部屋に向かう。
一瞬窓の外の飛竜を見てゾッとしたような顔をしたので、アンジェラは早めに片付けようと決めた。あんなものがすぐ近くにあるのは、決して気持ちのいいものではない。
それにしても、アンジェラに話すよりも父親であるコンラッドに対する話し方のほうが微妙に距離があるように感じ、アンジェラは内心首を傾げた。
さっきしっかり父親に守られていた時は嬉しそうに見えたのに。
(まあ思春期だから、普通と言えば普通かしら)
自分には経験がないから、そこは推し量るしかないけれど。
メイドはコンラッドに大きなやかんと鍋二つに水を貯めてもらうと、そそくさとキッチンに戻った。火おこしはできるようなので、お茶を用意してもらえるようだ。
「いつまでもホールにいるのもなんですし、どこか部屋に移動しましょう。シドニー、リビングは使えるか?」
「はい。もちろんでございます、旦那様」
執事のシドニーが一礼をすると、コンラッドが頷いてアンジェラに手を伸ばす。一瞬抱き上げそうな勢いだったが、思いとどまったように右手だけを差し出した。
「先生、立てますか?」
「ええ、ありがとうございます」
にこやかに大きな掌に自分の手を重ねて立ち上がる。
水のおかげだろうか。身体の奥に疲労の重みは残っているものの、ずいぶんすっきりとしていた。
なぜかエスコートするかのように手を放してもらえないことを不思議に思いつつ、照れるような年でもないので気付かないふりをしておく。内心では、(昔の素っ気ない王子様はどこ行ったの?)とか、(いつもこんな感じなら、こういうところが、女性に無駄な夢を見せてしまうのではないかしら?)などなど、盛大につっこみを入れていたけれど。
年を取ると丸くなるというけれど、先ほどから奇妙についてまわる既視感に、胸の奥がソワソワしてしかたがない。
それはアンジェラが、自分の前世の記憶に触れたときに近い感じががするからだ。
でも、そんなことはないはず。
彼とは顔見知り以下の関係だったし、唯一の接点であった学生時代には何も感じなかったはずだ。
それは何かの予感だったのだろうか?
「でもっ」
とっさに声を上げたメロディは、ふとアンジェラを見て何か考え込むような仕草をする。そしてコンラッドの顔を見た後小さく頷くと一歩下がり、丁寧に礼をした。
「わかりました。部屋でいい子にしてますわ」
数歩歩いたあと「詳しいことは後で教えて下さいませ」とだけ言い起き、すんなりと部屋に向かう。
一瞬窓の外の飛竜を見てゾッとしたような顔をしたので、アンジェラは早めに片付けようと決めた。あんなものがすぐ近くにあるのは、決して気持ちのいいものではない。
それにしても、アンジェラに話すよりも父親であるコンラッドに対する話し方のほうが微妙に距離があるように感じ、アンジェラは内心首を傾げた。
さっきしっかり父親に守られていた時は嬉しそうに見えたのに。
(まあ思春期だから、普通と言えば普通かしら)
自分には経験がないから、そこは推し量るしかないけれど。
メイドはコンラッドに大きなやかんと鍋二つに水を貯めてもらうと、そそくさとキッチンに戻った。火おこしはできるようなので、お茶を用意してもらえるようだ。
「いつまでもホールにいるのもなんですし、どこか部屋に移動しましょう。シドニー、リビングは使えるか?」
「はい。もちろんでございます、旦那様」
執事のシドニーが一礼をすると、コンラッドが頷いてアンジェラに手を伸ばす。一瞬抱き上げそうな勢いだったが、思いとどまったように右手だけを差し出した。
「先生、立てますか?」
「ええ、ありがとうございます」
にこやかに大きな掌に自分の手を重ねて立ち上がる。
水のおかげだろうか。身体の奥に疲労の重みは残っているものの、ずいぶんすっきりとしていた。
なぜかエスコートするかのように手を放してもらえないことを不思議に思いつつ、照れるような年でもないので気付かないふりをしておく。内心では、(昔の素っ気ない王子様はどこ行ったの?)とか、(いつもこんな感じなら、こういうところが、女性に無駄な夢を見せてしまうのではないかしら?)などなど、盛大につっこみを入れていたけれど。
年を取ると丸くなるというけれど、先ほどから奇妙についてまわる既視感に、胸の奥がソワソワしてしかたがない。
それはアンジェラが、自分の前世の記憶に触れたときに近い感じががするからだ。
でも、そんなことはないはず。
彼とは顔見知り以下の関係だったし、唯一の接点であった学生時代には何も感じなかったはずだ。
それは何かの予感だったのだろうか?



