道端で、見たことのない古い硬貨を拾った。真っ黒に錆びていて、真ん中に四角い穴が空いている。珍しいので、ズボンのポケットに入れて持ち歩くことにした。その日から、不思議と幸運が続いた。道でお札を拾ったり、懸賞で高級肉が当たったり。ラッキーだと喜んでいたが、ある日母が悲痛な顔で私に言った。「お父さんの会社が倒産したの。おまけに田舎の家も火事になっちゃって……」幸運は、身内の不幸と引き換えだったのだ。