「……ではご自身で生活を改善していただくしかありませんね」
名古先生は眼鏡のブリッジを上げながら電子カルテに何かを書き込んでいる。血管が手の甲に浮かんで、前に作った手のオブジェに似てるなとぼんやり考えた。
「今回も点滴で栄養を補給しますから、今日は入院して行ってください」
「えっ!?」
それは困る!
せっかくインスピレーションが湧いて、新作ができそうだったのに!
「何か問題でも?」
「いえ、滅相もない」
凍りつきそうな眼差しに晒されて、冷や汗をかきながら従うしかなくなってしまう。
この先生、怖すぎる。
いや、悪いのはまともな生活送ってない私なのは十二分に理解してる。理解してるけどしょうがないじゃない……。
一度波に乗っちゃうと寝るのも食べるのも忘れちゃうんだもの。
いつか本当に取り返しのつかないことになるとわかっていても、どうしようもない。



