眠り続けろピグマリオン




 さっきまでは何ともなかったのに、今は熱が残っているような気がする。

 尚紀さんは唇を離すと今度は私の首筋に指を置き、撫でるように鎖骨まで滑らせた。


 次は何をするつもり……?


 身じろぎ一つせずにされるがままの私に、ブランケットの上から──



 ──ガタッ!



 最初はパソコンから流れた音かと思った。

 でもそれならスピーカーから聞こえてこないとおかしいし、物音は後ろから、しかも近距離だった……。

 おもむろに背後を振り返る。


「……」


 帰ったはずの尚紀さんがいた。

 目は見開かれていて、顔からは血の気が引いて紙よりも白い。

 頭のどこかで、自分も同じような表情をしてるんだろうな、と思った。


「……忘れもの?」

「ああ……」

「……座って」

「ああ……」


 やっと絞り出した声は掠れていた。

 尚紀さんは相づちとも呻きとも思えるような声を返し、ソファーに崩れ落ちた。