眠り続けろピグマリオン




 玄関のドアが閉まるのを確認してカメラを取りに戻った。

 少し震える手でつまみ、手のひらに乗せたままパソコンがあるリビングへと向かう。


「よし、これで……」


 説明書の通りパソコンに繋げて、再生ボタンをクリックした。

 私がベッドで仰向けになるところから映像は始まり、すぐに軽いいびきが聞こえてくる。

 私って寝てるときこんななんだ……。

 妙な気恥ずかしさを感じつつ起こるかもしれない何かを待ち続け──。


「尚紀さん……」


 カメラを横切る影に一瞬ドキッとして、すぐに彼だとわかった。

 尚紀さんは私の顔に手をかざして、寝ているかどうか確認してからそっと頬のラインに指を這わせる。

 そしてしばらく往復した後で、唇にゆっくりと触れた。


「あっ……」


 遊ぶように柔く押して、それから。


 自分の唇を重ねた。


「……」


 私は自分の唇に触れてみた。