「……わざわざ来ていただけるなんて」
「直接見ることも大切ですから」
家にまでやってきたときは、もう逃げられないと思った。
「今日は外に出たんですね」
「新作を作るのにヒントが欲しくて」
「いいじゃないですか。適度な運動は健康の基礎ですよ」
それでもこうして褒められるのは、嫌いじゃなかった。
「長生きしてもらって、色んな作品を作ってほしいんです」
「それだけですか?」
だから、聞いてしまった。
「え?」
「ここまでしてくれるのは、作品のためなんですか?」
……馬鹿げたことを聞いてしまった、と後悔した。
それ以外の何があるんだろう。
他人の手がなければ、まともな生活を送れない女なんて──
「そう見えますか?」
「……」
「それだけのためにここまでする男に見えますか?」
我が家のテーブルで、向かい合わせで。



