恋を隠して、バレないで





「お、お客さま!!」

「も、申し訳ございません!!!なんてお詫びしたらいいか!!わ、私……どうしたら!!」

「いえ。全然気にしないでください」





いや、気にしろよ。

なんて普段なら自分にツッコミを入れるところだけど、そんなことする理性も残っていない。


自分より焦っている人を見ると、かえって自分は冷静になるもの、表面上はね。


大焦りでハンドバッグからハンカチを出し慌てふためいている女の人を両手で静止させた。





「故意でないことは分かりますので」

「ですが水でドレスが濡れて!」

「こんなの庶民的な値段のお優しいドレスですよ」





⎯⎯⎯嘘だ。


確かにここにいる皆様に比べたら安いかもしれないが、私からしてみれば大金。


でもそんなことを彼女に言ったところでどうにもならない。残念なことに価値観が違う。




……ここにいたらダメだ。
羞恥心で死ねる。