私は無言で机に顔を埋めた。
「嬉しいけど嬉しくない」
「どうして?」
「身分の違いが鮮明に分かっちゃうから」
私は有泉さんと仲良くできるほど、素敵な女の子なんかじゃない。
知らない世界との越えられない壁を認識するぐらいなら、知らない方がマシだ。
グッと心の中で決意する。
「とりあえずは何事もなかったことにしよう」
「……本当にいいの?」
「うん、これが一番いい選択」
わざわざ自分から険しい道に行く必要なんてない。
噂なんて三日経ったらほとんどが消えて、普通の生活がまた始まる。
私も有泉さんも今までの通り、何不自由ない日々をまた歩んでいくんだ。
まっすぐ私を見て見てた瞳。
なんの不純もない言葉。
「……忘れよう」
全てを静かに胸の奥にしまった。



