「でも有泉さんらしくないね」
「そうなの?」
「大企業の御曹司だもの。そんな誰彼構わずディナーに誘うわけないから、つまりは……」
先に入った志保が振り返る。
じーっとなにか言いたげに見つめてくるから、よく分からなくて首を傾げると志保はニコッと笑った。
「意外と本気なんじゃない!!」
「…なんでそうなるのよ!」
「だって、女の子なら誰でも告白しちゃうような遊び人の有泉さんなんて想像できないから。
それよりも穂乃果に恋したって考える方が現実的でしょ?」
「どっちも非現実的よ……」
椅子に座ると、ぺたっとほっぺを机につける。
私の前の席に腰を下ろすと、楽しそうに頬杖ついて微笑んでいる志保を見上げた。
「嬉しくないの?」
「……なにが」
「有泉さんと仲良くなれて。
初めて会った時に一目惚れしたんじゃなかったの?」
「……」



