恋を隠して、バレないで




私のことは無理やり座らせた癖に有泉さんは立ってる。
なんか分からないけど嫌だ。



「有泉さんも、座ってください」



そうねだったら、意外と素直に座ってくれた。
嬉しくて微笑んじゃう。

やばい、まだ世界が揺らいでる。
表情管理ができてない。

グッと引き締め直して、ひとつ深呼吸をすると顔を横へと向けた。



「コース中に席を外しても大丈夫なんですか?」

「今頃デザートの準備しているだろうし、むしろいてくれなくて感謝してるんじゃない?」

「……そんなもんですか」




やっぱり私はこの世界については分からない。

全てが非日常で慣れてなくて、このまま突き進んだら本当に知恵熱でも出しそう。


有泉さんはキレイな無表情で、

前を向いて何を考えているのか、はたまた何も考えていないのか

ただ一点を見つめている。




「……迷惑かけてすみません」

「迷惑……?」

「本当はもう少しスマートに動くはずだったんですけど、助けて貰ってばっかで」