「少し風に当たろうか」
突然の提案に驚く。
「……なんで?」
「やっぱり体調悪そうだから」
大丈夫ですよ?
なんて思いながらも、スルッと立ち上がった有泉さんは私の腕を取って強引に立たせる。
そのまま引っ張られて、半ば引きずられるように、
私は状況の理解が追いつかないまま外にいた。
……バルコニーあるんだ。
それに夜景がすごくキレイ。
ぽつんと一つ置かれたベンチに肩を押されて座る。三月の風は冷たいけど、今はちょうどいい。
目の前に広がる綺麗な夜景と気持ちいい風に、緊張した体が少しほぐれた。
「体調大丈夫?」
「はい、緊張していただけです」



