恋を隠して、バレないで




「じゃあもう少しでお迎えが来るから、来週楽しみにしてるね!」

「うん、またね」




ばいばーい!なんて。

ふわふわのスカートを揺らしながら手を振って教室から出た志保を見送り、私もカバンを手に持つ。






───綾華南学園へと入学できる外部生の数は年間五人。外部生選抜試験で優秀な成績を収めた上位五人までの特権だ。





第141回 外部生のひとりとして奇跡的に選ばれた私はお貴族さまでも社長令嬢でもない。

ごくごく普通の一般家庭で勉強が人より出来るだけ。



……そんな私がどうやって来週のパーティーまでにドレスを準備しろと?



あーあ色々ついていけない。やっぱり身の丈にあった学校にしておくんだった。下手に背伸びなんてするから大変なことになるんだ。




カツカツ、と廊下を歩く音が響く。

どこからともなく湧き出てくる怒りをカバンの取っ手に込めた。手が白くなるのなんてお構い無し。




もう!お母さんにお願いしてブティックに行くしかないじゃないの!!!



周りの王子様お姫様たちはお迎えの車に乗り込む中、そんなの素通りして私は駅へと向かった。