放心状態で部屋を出た。
支配人の方はそれはそれは嬉しそうで、今更「無理です!」なんて言えるわけが無い。
すっかり外が暗くなっている。
三月は日が落ちるのが早くて少し外を見ない間に真っ暗だ。すっかり人の気配もしない。
……まぁ良かったのかも。
“一応”円満には収まった。ただし、とんでもない爆弾抱えちゃったけど。
「なんでディナーに行くなんて言ったんですか?」
恐る恐る聞いてみると、一歩を前を歩いていた有泉さんは振り返る。
するとうっすらと笑みを見せた。
「このままだと話が進まないから。
一番いい着地点だと思って少し強引に進めた」
「少し強引……?」
だいぶ強引の間違いでは?
あれは完全に誘導されていた。
きっとこの人は自分の顔の良さにも気づいているのだろう。
それに私が顔に惚れていることにも。
どうやら有泉さんは、気高い雰囲気にそぐわず人をもてあそぶのが好きらしい。
でも事実として言いなりになってるから何も言えん…。



