「……そんなに嫌?」
低い声。
反射的に顔を上げると、有泉さんがこちらを見ていた。
「い、嫌というか……」
「顔に出てる」
「えっ」
そんなに…ですか…。
急に違うベクトルでの恥ずかしさと申し訳なさで居た堪れなくなり顔を下げた。
「でも、ホテル側も引けないよね」
有泉さんは視線を支配人の方へ向ける。
「今回かなり騒ぎになってたし」
……確かに。
あの場にはたくさん人がいた。
綾華南の生徒にはお得意様のご子息もいるだろう。変な噂が立つ可能性だってある。
「だからって私なんかのために……」
「じゃあ瀬名さんは何したい?」
どうしたいか。
そんなの決まってる。



