恋を隠して、バレないで




「クリーニング代、それからお召し物に関する補償につきましては、全てこちらで対応させていただきた──」

「だ、大丈夫です!!」




思わず食い気味で遮る。




学校ならまだしも……ほ、ホテルからの対応なんて!恐れ多すぎる……受け取れませぬ……。




私の言葉に支配人の方も担任の先生も不思議そうに私を見ている。


恥ずかしい。
顔に熱が集まってくるのがわかるが、何とか言葉をつなごうとテーブルの下でぎゅっと手を握る。




「故意ではありませんでしたし……その、私も怪我とか全然ですので……!」




何よりもかかったものは水。
被害はそこまでなく、ドレスも今は綺麗な姿に戻っているのだ。

それなのにお金を受け取る訳にはいかない。




「ですが瀬名さま」

「ほ、本当に大丈夫ですので……!」

「こちらとしても、何もせず終わらせる訳には参りません」




正論を言われると弱い。
ホテル側にとっても信用問題に関わるのだろう。ここで引く訳にも行かない気持ちも分かる。

うっ。と言葉を詰まらせる。どうしたものかと考えていた時。




「それでしたら」




支配人の方がカバンから何なら資料を持ち出した。机に置かれたそれを覗き込む。