動揺で手汗が止まんないけど、至って冷静を偽ってプリントを半分におるとカバンに押し込んだ。
文句なんて言ってられない。この学校では150年も続いてきた伝統だから。郷に入ったら郷に従えですね。
「穂乃果さん、顔が真っ青ですよ」
「あれれ、バレた?」
心配そうにこちらを覗き込んできて、むぎゅっとほっぺたを両手で押し潰してきた彼女。
涼風志保(スズカゼシホ)さま。
かの有名な涼風製薬のご令嬢さまでございまして、この学校に入っていなかったら一生かけてもお目にかかれないレベルの大金持ち。
確かに。
ここに通うような王子様お姫様達にとってはパーティーひとつの為の準備なんてかすり傷にもならないのか。なんて羨ましい。
「私は今年のパーティーが一番楽しみなんだから。穂乃果と初めて行けるパーティーだからね!!」
「志保……本当に大好き」
学年末に行われる修了記念パーティー。
綾華南学園主催のもので、1年間の苦労を労ったり、人脈を広げたりと大切な伝統的行事だ。
この場所で生まれた交友関係は今後一生崩れない信頼となって関わっていくとか。
でも私からしたら関係ない。そんなの上流階級でのお話であり、私はただの一般人だから。


