距離が、近い。
低くて優しい声が、近すぎる距離から降ってくる。
耳じゃなくて、頭に直接響いてるみたい。
喉が……上手く開かない。
そんな中、初めて顔を合わせた人と初めて交わした会話は……
「す、スミマセン……は、離れてください」
こんなに惨めな姿見せてはいけない。
こんな濡れたドレスを触れさせてはいけない。
そう思ったから出た言葉。
それに今気づいた。
ガッシリと肩を掴まれて抱きしめられている。
肩に置かれた綺麗で細長い手を見つけてドキン!と心臓が跳ねた。
「なんで濡れてるの?名前は?」
「……い、や。それは」
アタマが……頭が働かない。
それに目が離せない、本能で引き寄せられるようにこの人から視線が動かせない。


