こっちを向いてよ、千歳くん。


「如月、華乃……」



彼は、私の名前を声に出す。




「えっと……?どうかしたんですか?」



私が聞くと、彼は俯いた。




「……いや、なんでもない」




そういう彼の表情はさっきまでとは明らかに違う。


どう考えても、なんでもない、とは思っていなさそうだ。




「……2組」




それだけ言って、彼はすたすたとその場を立ち去った。


やっぱりだ。さっきまでとは態度が全然違う。



私の名前がどうかしたのかな……。





「あ、聞いてなかった。あなたの名前! 教えてください」





そう言って、私は声をかける。



でも、彼は一切の笑みを浮かべずに。




「……言う必要ある?」




と、冷たく言って、そのままどこかへ行ってしまった。




「え……」




思わず、あっけにとられてしまう。



わ、私、何かした……!?