こっちを向いてよ、千歳くん。


「ふ、ちっちゃいもんな、あんた」


「ひ、ひどいです!」


「冗談だって。ちっちゃいのもかわいーんじゃない?」





容姿端麗な彼が笑うと、さらにイケメンオーラが増した。


うう、この人の周りだけキラキラしている気がする。




「で。あんた、名前は?」


「へ?」


「教えてくれたら、見てやるけど」




そう言って、彼は名簿表を指さす。



私には、彼が救世主に見えた。





「えっ、ほんとに!?」




私は、思わずぱあっと顔を明るくさせた。





「如月です!」



「……如月」




彼は、私の名前を聞いた瞬間、笑顔を消した。


急に、彼の表情が固まった。




「どうしたんですか……?」




私の問いには答えず。


彼は代わりに、私に質問をした。




「……下の名前は?」



さっきよりも、一段低い声。




「華乃です!如月 華乃」




そう言って、私はにこっと笑った。



でも―――彼は、笑顔を消したまま。




彼のまわりの空気だけが、冷たくなったように感じた。