こっちを向いてよ、千歳くん。


―――HRが終わって。


私は千歳くんに話しかけた。



「ねえ。さっき、私のこと見た?」


「……はあ?」



私がそう聞くと、千歳くんは怪訝そうな顔をした。


あ。さっきから無表情だったのに、表情が出た。



「ほら、さっきの自己紹介のときだよ! 気のせい?」


「……気のせいでしょ」


「そうかなあ? それより好きなもの、ほんとに何もないの? ゲームとか、スポーツとか!」



私がそう言うと。千歳くんは固まった。


顔はよく見えなかったけれど。



「千歳くん……?」


「……ないよ、好きなもの。……もう好きじゃないし」



そう言った千歳くんだけど。


どこか、声色は寂しそうだった。