こっちを向いてよ、千歳くん。


桜が舞って、暖かい風が吹いた。



新しい制服、新しい通学路、新しい学校。


何もかもが新鮮な環境に、胸が高鳴った。




私――如月 華乃は、今日から高校生になる。


同じ高校に進学する友達はいなかったから、知り合いは誰一人いない。



真新しい関係性を築く。それが、楽しみでたまらないのだ。




「わあ……っ」




見えてきた高校の校舎に、思わず声を上げる。


綺麗で大きな校舎。今まで見てきたものとは違うから、新鮮だ。




他にも、周りをキョロキョロさせながら歩く人達がたくさん。


この人達も、私と同じく入学生だろう。



誰でも、新しいことにはワクワクするものだ。




真っ先に校庭へ向かうと、そこには人だかりが。




あ。クラスの名簿表が張り出されてる。


でも、人が多すぎて見れなさそうだ。




嬉しそうな声、悲しそうな声。色んな声が聞こえてくる。



今年はどんな1年になるかなあ。





「ふんっ、ふん……!」




一生懸命その場でジャンプして、人だかりの中に埋もれているクラス表から自分の名前を探す。



身長が148㎝の私は、あっという間に人だかりの中に埋もれてしまった。