ラストページをめくるな

神保町の片隅にひっそりと佇む、とある小さな古書店にて、何かに導かれるように一冊の文庫本を購入した。その物語の主人公は奇しくも私と同姓同名で、人物設定も境遇も何もかもが自分自身と見事に一致していた。数時間かけてようやく辿り着いたボロボロのラストページには、三十歳の誕生日を目前に、主人公が謎の不審死を遂げるという実にむごい描写が描かれていた。ふと自室のカレンダーに視線を向ける。意識が、遠のいてゆく。