クールなパティシエが見せる笑顔は私にだけとびきり甘い

ふたりで切り分け、一口頬張る。

「んー!美味しい!天才だ!」

ふわふわのスポンジに、甘さ控えめの生クリーム。

「ふふ、本当に花蓮は美味しそうに食べるね」

「そう?」

「うん。俺、昔からその顔好きだから」

「どの顔?」

「今みたいに頬張ってる顔」

優しい笑顔でそう言われる。

「冬馬のフェチって頬張る姿なの?」

「うーん」

少し考えるように首を傾げる。

「それ、花蓮限定だからなぁ。フェチっていうのかな」

「なにそれ」

思わず笑う。
すると冬馬も楽しそうに笑った。

「あ、でも」

「ん?」

「その幸せそうに頬張る顔を見ると、欲情する」

「やめい、変態」

即答すると、冬馬が肩を揺らして笑う。
そして、そっと距離を縮めた。

「大好きだよ、花蓮」

くしゃりと笑った顔に、えくぼが浮かぶ。
その笑顔を見るたびに思う。
きっと私も、かなり重症だ。
そっと重ねられた唇は――

ケーキよりも、ずっと甘かった。