「健くん、また明日ね」
部屋を出る前にクルリと振り返り、健くんに手を振った。
ああ。 と短く答えた健くん。
片手を少し上にあげ、目を細めてほほ笑んだ。
外に出ると、一番星がキラキラと輝いていた。
もう9月だっていうのに、まだ少し蒸し暑さが残っている。
それに、また灰が降ったのか。
風が吹く度に、アスファルトから舞い上がった灰があたしの目を攻撃してきた。
痛くて目が開けられない。
瞬きする度に、目の中でゴロゴロする。
「ゆず」
下を向いて、立ち止まりながら目をこすっていると。
急に腕を掴まれた。
うまく開かない目を開こうとすればするほど
涙がポロポロこぼれてくる。
「ゴメン、和馬くん。ちょっと待って。 目が痛くて開けられない」
涙を拭いながらまた下を向く。
「何だ、灰が目に入ったのか?」
「うん。 なかなか取れなくて」
流す涙で取れると思ったのに、まだ粒が残っている。
「見せてみろ」



