――5分後。
「だぁっ!!!!もうやめだ、やめっ!!」
バタンと、床に寝転がった龍兄。
「何言ってんだよ、龍兄。まだ5分しか経ってないじゃん。しかも……えっ?1問も解いてないじゃん」
うそだ、有り得ない。
そんなヒロくんの心の声が聞こえた気がした。
「んなもん、解けっかよ。習ってねーし、そんな暗号見たこともねぇ」
「……暗号って。確実に習ってるからね。俺らも、解ける問題だしね」
ヒロくんの口の端がけいれんする。
「だから言ったじゃん。こんな勉強会なんて反対だって」
寝転ぶ龍兄を睨みつけながら和馬くんが言った。
「………」
ヒロくんは、和馬くんを一瞥してから、龍兄に目を向けた。
「龍兄、真面目にやんなきゃ、ヤバいんでしょ?進学がかかってるって、この前言ってたじゃん」
「んー。でも、今更本腰入れたって、ヒロみたいに要領いいわけじゃねぇし、もう手遅れだよ」
あの威勢のいい龍兄はどこにいったのか。
こんな姿、学校のみんなは見たことがないだろう。
“この町で一番強い”
違うよ。
龍兄は、あたし達と何も変わらない、ただの高校生だよ。



