和馬くんが指を差している“白い物体”。
それは、数学の教科書。
昨日、あたしがいたずらしたやつだ。
やっぱり、怒っちゃったか。
「昨日、珍しく俺がテスト勉強しようと思って開いてみりゃ」
珍しくって……
自分で言うこと?
「おまえ、これは何だ」
教科書の上の端のほうに、何ページにも渡って描いてある絵。
「何? って、パラパラ漫画」
エレベーターに乗ってエントランスを出ると、花壇にヒロくんが腰掛けていた。
「柏木、おはよう」
「おはよ」
あぁ、ヒロくんはいつ見ても爽やかだなぁ。
それに比べてコイツときたら……。
「どうしてヒトの教科書にパラパラ漫画描くんだよ」
「おっ、パラパラ漫画?見せて」
和馬くんの手から、教科書を取ったヒロくん。
パラパラとページをめくり、絵を踊らせていた。
「うまいね」
ヒロくんが感心したように言った。
「でしょ?あたしも自分でビックリした」



