「いつ引っ越してきたんだよ」
「昨日だよ」
「昨日? みんなは知ってたのか?」
「うん、俺は知ってたよ」
ヒロくんがニッコリ笑った。
「俺だって知ってたし」
頬杖をつく和馬くんが、負けじとふて腐れながら言った。
「それも、俺が教えてやったんじゃん」
フフンと、鼻を鳴らすヒロくん。
「健。 おまえも知ってたのか?なぁ、知ってたのか?」
今にも泣きだしそうな顔で、健くんに詰め寄った。
健くんは、見ている雑誌からゆっくり視線を上げ、
「うん。 知ってたよ」
無表情のまま、それだけを答えた。
「な、なぬっ!?俺だけ知らなかったのか? 俺としたことが……。ゆずが帰ってきたことにも気づかないなんて……」
いきなり頭を抱え出した龍兄。
床に崩れ落ち、打ちひしがれていた。
「おいおい、嘘つくなよ健」
めんどくさいことになったと、ヒロくんが眉を寄せた。
「龍兄。 健も、今朝知ったんだよ。龍兄だけじゃないから」
ヒロくんがそう言うと、
「そうかそうか、健も知らなかったのか」
ケロっと、元気になった。



