「それじゃ、柏木の席はあそこだ」
先生が人差し指を向けた先。
そこは……。
「はっ!? 俺の隣かよっ!!!!」
眉間にシワを寄せ、あからさまに嫌な顔をしている和馬くんの隣だった。
「……んだよ」
窓の外に視線を落とし、何かをブツブツぼやいている。
先生の指が和馬くんの隣に向いた瞬間、さらに女子の視線がするどくなった気がした。
背筋がヒヤリとする。
あたしは、女子の視線から逃げるように、和馬くんの隣の席に腰を下ろした。
「よ、よろしくね」
あたしが声をかけても、頬杖をついて外を見続ける和馬くん。
………。
和馬くんは、子供の頃からあたしに対して少し冷たかったけど
なんだか、さらに冷たくなってる……。
せっかくまた会うことが出来たのに、ちょっと、寂しいな。
「柏木」
朝のHRが終わると、ヒロくんがあたしの机まで来てくれた。
「同じクラスなんて、ラッキーだな」
相変わらずの爽やかな笑顔。
「うん。ちょっと安心した。ヒロくん達と同じクラスで」
鞄の中から、筆箱を取り出しながらほほ笑んだ。
「あっ、そういえば。柏木、まだ持ってないだろ? 教科書」
「うん。 まだ」
そう答えると、ヒロくんはあたしの隣でスマホをいじっている和馬くんの机をトントンと叩いた。



