「あれ…?ここ、なんか覚えてる気が……」
商店街の端にあるラーメン屋さん。
さっきの駄菓子屋と同じくらい、古い建物だった。
「おっ、いいね。もっと記憶をたどって思い出して」
ラーメン屋の前で足を止めたヒロくんが言った。
和馬くんは、ラーメン屋の前にある電信柱に寄り掛かってスマホをいじっている。
なんだろう……
よく、ここに来てた気がするんだけど
ここのラーメンを食べた記憶はないんだよね。
毎回、あの駄菓子屋さんでガチャガチャをしたあとに、みんなでここに来て……
「おっ。健、おはよ」
頭の中を巻き戻しさせたその時。
ラーメン屋の隣にある小さな門から、あたし達と同じ制服を着ている男子生徒が出てきた。
ヒロくんが片手を上げて挨拶をし、和馬くんも電信柱から体を起こした。
――健、くん?
「相変わらず眠そうだな」
大きな口を開けて欠伸をした彼を見て、ヒロくんが苦笑する。
「んー……」
今起きたばかりなのか、彼はボーっとしている。
「健、おまえシャキッとしろよなぁ。こっちまで怠くなるだろ」
「………」
不機嫌な和馬くんが歩み寄っても、ボーっと一点を見つめたまま。
「ハハっ。健。 こいつを見たら、眠気が覚めるんじゃない?」



