「おはよ。 柏木」
エントランスを出たところで、ヒロくんが声をかけてくれた。
「おはよう」
ヒロくんの笑顔につられて、自然と口角が上がる。
肩に提げる鞄をギュッと掴んで、ヒロくんの元に小走りした。
グレーのスラックスに白い半袖シャツ。
すらっと手足も長くて、長身。
子供の頃はあたしの方が身長高かった気もするけど、今では見上げないとヒロくんの顔が見れない。
ジッと、ヒロくんの視線が刺さった。
「な、何?何か、変かな?」
パリっとハリのある制服を見下ろして聞いた。
ヒロくんと同じ、グレーの膝丈のスカートに白いシャツ。
そして、胸元には赤いリボン。
前と後ろを確認すると、
「すごく似合ってる」
ヒロくんの笑顔が咲いた。
「そ、そうかなっ?あ、ありがと」
う〜……
直視できないなぁ、その笑顔。
眩しすぎるよ――…
「おまえ、制服に着られてんじゃん」
ヒロくんの後ろから現れた和馬くん。
珍しい生き物でも見てるかのような視線だ。
「ほんっと、ガキの頃からチビだよな」
あたしの隣にきた和馬くんが、あたしの頭の上で手を横にヒラヒラさせている。
その手を、自分の体にくっつけた。
「俺の肩までしかないじゃん」
「か、和馬くん達が大きくなりすぎたんだよっ!!!子供の頃は、あたしの方が大きかったじゃん!!!」
プクっと、頬を膨らませる。
「一瞬だけだろ?すぐに、俺が抜いたじゃん」
また、勝ち誇ったようにあたしを見下ろす。
「チビだなぁ」
頭の後ろで両手を組んだ和馬くんは、鼻歌混じりに、先に行ってしまった。
何なのよ、もう……
ほんっと、変わってないなぁ。
あの意地悪なとこ。
「あ〜あ。 嬉しそうだな、和馬のヤツ」
和馬くんの背中を見ながら、ヒロくんが言った。
えっ? と、ヒロくんを見上げる。
「あいつ、ずっと待ってたから」
「……?」
「柏木が帰ってくるの」
あたしを見下ろすヒロくんの笑顔。
朝の静かな風よりも、爽やかだった。
「柏木、改めて、おかえり」



