「でも、よかった。顔の傷、早く治って」
あれから1週間。
あたしは、まだ“答え”を出せないでいる。
――『冗談で、あんなこと言わねぇから』
答えを出すどころか、まともに健くんの顔も見れないし、挨拶も出来ないし、うまく笑えもしない。
そんな空気がすごく嫌で、あたしはここ最近、健くんを避けるようになってしまった。
もちろん、あからさまにじゃない。
違和感がない程度に、距離をおいた。
ヒロくんも和馬くんも何も言わないから、多分、この距離感に気づいていないと思う。
「ねぇ、聞いてる?柏木」
「――へっ?」
横から突然現れた顔に、思わず体をのけ反らせた。
「酷いな、その態度」
プクっと、頬を膨らますヒロくん。
「ご、ごめん。いきなりだったから驚いちゃって」
「いきなりじゃないよ。さっきから話しかけてましたぁ」
「えっ、うそっ!!ごめん。何の話しだっけ?」
慌てながら言うと、スっと、ヒロくんの人差し指があたしに向いた。
「傷、早く治ってよかったねって」
言われて、頬に手をあてる。
あの時、和馬くんがすぐに手当してくれていなかったら、多分、跡に残ってたと思う。
そんなに深くなかったっていうのもあるんだけど、これは、和馬くんのおかげだ。
文化祭が2週間後にせまり、あたしはなんと、2学年の美女第3位に入ってしまった。
しかも、1位はあのリーダーだ。
また、舞台の上で戦うことになる。
怖くないって言ったら嘘。
めちゃくちゃ怖くて、辞退したいくらい。
でも……
彼女には、負けたくない。
彼女にだけは、絶対に。



